事例1:古代ローマ時代のジュピター神殿の列柱
マイエンスのジュピター神殿にある列柱の修復作業に、エクスロンの装置が採用されました。修復の準備作業として、碑文ブロックと5つの支柱の1つが、ドイツのハッティンゲンにあるエクスロンのラボに持ち込まれました。1905年の修復で使用された材料と手法の調査に使用されたのが、CTスキャンです。
このCTスキャンには、数メガ電子ボルトのX線照射が可能なLINAC(リニアアクセラレータ)が使用されました。石のような高密度の試料を透過するには、高レベルのエネルギーが必要になります。断層画像から、石柱は次のように多様な材料で構成されていることがわかりました。
- オリジナルの砂岩(明るい色)
- 空洞と亀裂(黒)
- 古い時代の石こう(濃いグレー)
- 新しい時代の石こう(明るいグレー)
- 鉄製の外装(白い点)
事例2:青銅器時代の金の装飾品
2011年、ザクセン州(ドイツ)南部で行われたパイプラインの建設中に、金属を大量に含む層が発見されました。安全上の理由から、50x50x25センチのサンプルを採取して分析が行われました。
最初に行った200kVのX線検査では明確な画像を取得できなかったため、自動車のラボにおいて450kVでのCT検査を行いました。その結果、装飾品の存在が認められました。さらに出力を上げるために、サンプルをハッティンゲンのラボに持ち込み、6 MeVで精細画像を取得したところ、指輪や宝印などが発見されたのです。
プラスチックに3D印刷されたCTモデルを参考に専門家が1ヵ月かけて作業した結果、装飾品が姿を現しました。